反逆の天才画家・中村正義


反逆の天才画家・中村正義

美術界のよどんだ権威主義に反逆の狼煙を揚げ、怒涛の人生を駆け抜けた一人の画家がいます。ご紹介します「反逆の天才画家・中村正義」です。

「生い立ちと就学」

出典元:http://img.magazineworld.jp/dacapo/img/2012/12/chichi_1-306×229.jpg

出生情報:1924513日豊橋市生まれ。

没年情報:1977416日没。享年52

愛知県豊橋市の老舗蒟蒻問屋「織九」に八番目の子供(長男)として生まれますが、生来病弱で一人で絵に親しむ幼年期を過ごします。豊橋商業に入学しますが結核のため中退し、近隣の絵の師匠につきますが、美術学校に行くことはありませんでした。絵筆をとった正義は本格的に日本画に興味を抱きますが、時代は本格的に戦争へと向かっていきました。

「絵画との出会い」

「中村岳陵」出典元:http://seadog.gifu.shotoku.ac.jp/users/jit/06jinbutu/61gazo/035.jpg

戦後、意を決して当時の画壇の重鎮・中村岳陵の画塾に入学します。画塾入学後間もなく、194622歳で日展に初入選。たちまち頭角をあらわし、戦争で多くの担い手を失った画壇は、正義を早世の天才画家速水御舟の再来と嘱望し沸き立ちます。しかし入選の知らせが来た時、すでに父はなく、母が末子の行く末を案じながら亡くなった数ヶ月後のことでした。

「生涯の創作活動」

谿泉」出典元

http://www.toyohashi-bihaku.jp/wp-content/uploads/2014/02/mn_pic04.jpg

その後も毎年のように院展や日展に入選し、中村正義の名は高まっていきます。そして1950年第6回日展で《谿泉》が特選となるほか、1952年 第8回日展にて『女人』が念願の特選となり朝倉賞、白壽賞も受賞し、文化庁の買い上げとなった事で、正義は時代の寵児と評されます。196036歳の時には最年少で日展の審査員に選ばれるという栄光にも浴し、画家生活は前途洋々の観がありました。

「長女倫子と」出典元:http://img.magazineworld.jp/dacapo/img/2012/12/chichi_6.jpg

やがてターニングポイントが訪れます。「女人」受賞直後から1957年まで正義は肺結核のため、長い療養所暮らしに終始します。これを終えるとともに、生涯の伴侶も得た正義は、長女倫子の誕生を機に、上京して胸部の大手術を受けます。結婚してからも寝込みがちだった正義は、見違えるほど元気になり、1961年川崎市畑山へ転居します。それは主治医から「私のそばにいなくてはだめ」と諭された事が大きな理由でした。そしてこの転居が彼自身の大きな転機ともなって行きます。「速水御舟の再来」という評価から、中村正義という唯一無二の画家へ脱皮する変革の時が到来します。

「川崎の自宅跡(中村正義の美術館)」出典元:http://nakamuramasayoshi.com/news/images/sample.jpg

病魔を克服した正義には一つの思いが突き上げてきます。旧態依然とした画壇への反発の思いは「既成の枠組から飛び出したい」「決まりごとを破ってもっと大らかに描きたい」という創造への情熱に変化し、正義を一つの行動に駆り立てます。37歳の正義が下した結論は「岳陵門下からの離脱」と「日展脱退」でした。それは細山の泥道に正義に会うために多くの画商たちが列をなしていた、そのさ中の事でした。正義がとった行動の真意は「既存のシステムを壊すこと」。それは自分自身の既成概念や積み上げて来たものを破壊してしまうことでした。こうして従来の装飾的な写実画とは対局を成す、作家が本当に描きたい絵が、細山のアトリエで次々に創作されていきました。

「三島由紀夫像」出典元:http://www.cinemanest.com/masayoshi/_src/sc657/character_photo2.jpg

原色を多用しデフォルメされた「顔」のシリーズや「舞子」シリーズ。これらは全て表層を剥がして、赤裸々な内面をえぐり出すような鮮烈な表現でした。制作手法は 膠(にかわ)の代わりにボンドを用いて蛍光塗料を配合したり、油絵具やアクリル絵具、ペンキに灰と、何でも使用しました。この表現手法の変化に、あれほどもてはやした画壇やメディア、ファンたちも、潮が引くように離れていきました。しかし正義は、むしろ嬉々として新しい道を驀進します。画商との付き合いではなく、映画や舞台の美術、雑誌の表紙画、テキスタイルの原画、はては特許取得した住宅の新しい工法までをも編み出しました。新しい表現者としての根強い人気に後押しされ、ロンドンで個展を開くなど、本業においてもどんどん活動領域を広げていきました。

「うしろの人」出典元:http://www.toyohashi-bihaku.jp/wp-content/uploads/2014/02/mn_pic07.jpg

196742歳になった正義は、自分が直腸がんであることを突然知らされます。慌ただしく飛びまわるうちにも、新たな病が正義の体を蝕んでいました。死の影に怯えながら、残り少ない余生に正義にはやり遂げておきたいことがいくつかありました。その思いは一人の蒔絵師・写楽にたどり着きます。写楽が残した膨大な錦絵、浮世絵から、商業デザイナーが制約から解き放たれて、自由に描くときの高揚感が躍っている世界が正義に投影したのです。それはまさしく、細山へ移ってからの正義自身であり、自身が導き出した答えでもありました。まとめあげた『写楽』を出版し、グループ展の開催や、美術展への出品、後進の育成に務めつつ、最後の十年を、正義は情熱的に活動します。19774月、中村正義は聖マリアンナ医大病院で家族に看取られながら52年の生涯を閉じます。細山の自然に囲まれて、異端と呼ばれながらも自由に羽ばたいた最後の15年間。それは人生の晩年であるものの、創造者としての青春でもあった輝ける素晴らしい時間でした。

「主な代表作」

谿泉1950年制作・豊橋市美術博物館所蔵

「樹」1955年制作・刈谷市美術館所蔵

「自画像」1956年制作・中村正義の美術館所蔵

「花(アネモネ)」1962年制作・刈谷市美術館所蔵

「舞妓」1962年制作・豊橋市美術博物館所蔵

「男と女」1963年制作・豊橋市美術博物館所蔵

「福田赳夫像」1968年制作・中村正義の美術館所蔵

「三島由紀夫像」1968年制作

「二人」1974年制作・刈谷市美術館所蔵

「うしろの人」1977年制作・豊橋市美術博物館所蔵

「略歴」

  • 1924愛知県豊橋市に生まれる。生家は蒟蒻工場を営んでいた。
  • 1940病気により豊橋市立商業学校を中退。
  • 1946中村岳陵に師事、日展初入選。
  • 19506回日展に「谿泉」(豊橋市美術博物館)を出品、特選となる。1952にも「女人」で特選を受賞する。その後肺結核療養のため1957まで制作を中断する。
  • 19603新日展の審査員となる。
  • 1961神奈川県川崎市細山に転居。日展を脱退する。
  • 1963個展「男と女」(上野松坂屋・名古屋丸栄)を開催。従来の画風から一変した前衛的かつポップな作品30点を発表する。
  • 1964映画「怪談」(小林正樹監督) のため「源平海戦絵巻」5部作 (国立近代美術館)を制作。
  • 1966個展「顔の自伝」(日本画廊)開催。
  • 1967直腸がんの手術を受ける。
  • 1969個展「太陽と月のシリーズ」 (銀座三越)開催。
  • 1970写楽研究の成果「写楽」(ノーベル書房)を出版。東京造形大学の日本画教師に。
  • 1974人人会を結成。第1回人人展(日本橋三越)開催。
  • 1975東京展実行委員会事務局長として展覧会開催に奔走。第一回東京展(東京都美術館)を実現させ、〈おそれ〉を出品。
  • 1977416肺癌のため川崎市聖マリアンナ病院にて死去。享年52

「関連著作物」

出典元:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/91ENngD7ABL.jpg

「写楽」中村正義著1970年刊・ノーベル書房(限定1000部発行)

出典元:https://images-fe.ssl-images-amazon.com/images/I/61eXcdEBOcL._SL500_.jpg

「想像は醜なり」中村正義著1998年刊行・美術出版社

参考サイト:http://www.cinemanest.com/masayoshi/character/character_1.html
参考サイト:http://dacapo.magazineworld.jp/cinema/100072/
参考サイト:http://www.toyohashi-bihaku.jp/?page_id=878
参考サイト:http://nakamuramasayoshi.com/index.html
参考サイト:https://www.amazon.co.jp/%E5%86%99%E6%A5%BD-1970%E5%B9%B4-%E4%B8%AD%E6%9D%91-%E6%AD%A3%E7%BE%A9/dp/B000J9386K
参考サイト:http://seadog.gifu.shotoku.ac.jp/users/jit/06jinbutu/61_gakameikan2.html
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