超絶技巧の天才名工/正阿弥勝義


超絶技巧の天才名工/正阿弥勝義

幕末から明治にかけ数人の天才金細工師が存在しました。超絶技法の手になる、多くの作品が海外に流出し、ことの詳細は未だ不明な部分もございます。そこでご紹介します「超絶技巧の天才名工/正阿弥勝義」伝です。「正阿弥の生い立ちと仕事との出会い」「正阿弥の生涯」「代表作」「主たる所蔵美術館」「略歴」「正阿弥の関連著作物」。

「正阿弥の生い立ちと仕事との出会い」

出典元:http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/090214/images/p001.jpg

出生情報:1832428日岡山生まれ

没年情報:19081219日京都にて没・享年77

サマリーレポート:正阿弥勝義は1832年に津山藩(現在の岡山・津山市)の金工師の三男に生まれ若くして頭角を表すと、18歳にして金工の名門・正阿弥家に養子として入り九代目を継承。勝義のつくる刀装具の美しい装飾は、大名や武士たちのステータスとなり名声を高めていきましたが、廃刀令によって仕事は激減。不遇の時代を過ごします。転機となったのはフィラデルフィア万国博覧会。明治政府は、海外で高い評価を得ている日本の工芸品を外貨獲得の重要な輸出産業と位置づけ正阿弥勝義の金工もその一つとなり、生き物の造形を得意とした勝義の精緻な作風は海外の博覧会で絶賛され、多くの賞を獲得しました。以後、金工の超絶技巧師として名を馳せます。


「正阿弥の生涯」

「かつての津山風景」出典元:http://www.e-tsuyama.com/report/assets_c/2013/01/%E5%90%89%E4%BA%95%E5%B7%9D%E3%81%AE%E6%A7%98%E5%AD%90-thumb-600×423-30128.jpg

インフォメーション:以下参照

天保3年(1832年)津山二階町に住む津山藩お抱えの彫金師・中川五右衛門勝継の三男として生まれます(幼名は淳蔵、勝義は工名)。幼い頃から父に彫金を学び、江戸出府の方便として津山藩先手鉄砲隊小山家の継嗣となり、江戸の彫金家に弟子入りを試みますが果たせず、江戸から帰郷後、小山家との養子関係を解消。その後18歳で岡山藩御抱え彫金職人の名家・正阿弥家の婿養子となって、正阿弥家の9代目を継ぎます。養子入り後は、江戸幕府お抱えの彫金家・後藤家の門人で、自身も江戸幕府及び朝廷の御用職人を務めていた実兄・中川一匠や、その師・後藤一乗から手紙で下絵や脂型、或いは相互に作品を遣り取りして指導を受けその道の途につきます。

「海野勝珉」出典元:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/c/c6/Unno_Shomin.jpg/200px-Unno_Shomin.jpg

元来、正阿弥家は藩主の注文で刀装具を作り、経済的には安定していましたが明治維新後の廃藩置県で岡山藩との雇用が解かれたことによって生活の保障がなくなります。更に廃刀令により刀装具の仕事も無くなり、多くの彫金家たちが廃業する中、勝義はその技術を生かして新たに花瓶や香炉などの室内装飾品や彫像などの美術工芸品、茶器などを制作し始めます。明治11年(1878)になると職人30余名で輸出産業を起こし、神戸の貿易商・丸越組の濱田篤三郎の紹介でイギリス商人と売買契約を結びます。ところが悪徳商人による粗製偽物が出たため輸出をすぐに中止し、職人を少数に絞った美術工芸制作に専念します。同年そのことを知ったイギリスから大衝立の注文を受けます。加納夏雄海野勝珉十二支図案で、勝義の金工彫、逸見東洋の木工により3年がかりで作り上げ納品しますが、この作品は、現在ボストン美術館が所蔵しています。こうして順調な制作活動の途に就き、その後は国内、海外を問わず精力的に博覧会や美術展に出品し、各地で高い評価を受けていきます。明治32年(189967歳に入ると美術研究のため京都へ転居します。京の伝統文化は勝義の才能を更に昇華させ、多くの秀作を京都移住後から死去までの10年間に制作しています。その一方、晩年は時代の趨勢ともいえるパトロン離れに見舞われ、新たな顧客獲得のための営業で身をすり減らし、人生で未経験の借金もかさんで行きました。そんな中、明治41年(1908)脳卒中により京都で逝去します。享年77


「超絶技巧と評された正阿弥の作風」

「蓮葉に蛙皿」出典元:http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2011/chozetsugiko/item002.jpg

正阿弥の作風は「超絶技巧」というべき高い技を誇り「精緻な彫金」「高い写実力」「質感表現」「多様な金属による色数の多さ」「光沢の美しさ」は技術レベルが高い明治期の彫金師の中でも群を抜いています。また刀装具出身の金工家らしく、鉄の錆地の美しさの表現にも特徴があります。一方で見る者の意表を突き想像を掻き立てる遊び心や、物事の一瞬を捉えた粋な趣向を盛り込み、複数の意匠を取り入れ対比させること等でも、緊張感や物語性を生み出しています。

「群鶏図香炉」出典元: http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2011/chozetsugiko/item001.jpg

一方で、勝義は帝室技芸員を頂点とする近代美術史研究の中では、地方の名工という位置付けに過ぎず、一般に高く評価されていたとは言いがたい存在で、自身もそう感じていきます。明治39年(1906)の手紙にも「時勢で、個人の作は勢力が薄い。技術は老人が上でも、東京の方が勢力がある」と語り、中央の権力に属する職人群に対して感じる勝義の焦りや無力感が読み取れます。その反動か勝義の作品はむしろ海外の収集家に評価され、多くの作品が国外に流出していきます。ウィーン万博でのジャポニズムブームが勝義の作品が海外に渡るきっかけとなりますが、超一流の技を世界に花開かせ順調に進むかと思われたのですが、時代の流れは大量生産の安価な商品を選ぶこととなり、勝義を頂点とする日本の“超絶技巧”は次第に歴史の闇に隠れていきました。 現在、海外流出を確認されている作品は150ほどで、小品や刀装具を含めればその2倍以上あると見られます。国内で、勝義の作品を所蔵する主な施設としては、東京国立博物館京都国立近代美術館清水三年坂美術館野崎家塩業歴史館林原美術館岡山県立博物館岡山県立美術館倉敷市立美術館などが挙げられます。


「代表作品」

出典元:http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/common/img/exhibition/exh_1502/exh_1502_05.jpg

明治年間制作・「古瓦鳩香炉」・清水三年坂美術館所蔵

制作年不明・「蜻蛉図香炉」・所蔵未確認

出典元:http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/common/img/exhibition/exh_1502/exh_1502_06.jpg

制作年不明・「柘榴に蝉 蓋付師器」・所蔵未確認

明治年間制作・「蓮葉に蛙皿」・清水三年坂美術館所蔵

制作年不明・「芦葉達磨像」・林原美術館所蔵

1893年制作・「雪中南天樹鵯図額」・(シカゴ万博事務局引継)東京国立博物館所蔵

出典元:http://www.hayashibara-museumofart.jp/cgi-image/246/246_QBPTnTVMJvCTjXMjJimuVmplyrvPcJAbKOSNxoCzIAVWlNtWFq.jpg

1895年制作・「菊花虫図菓子器」・林原美術館所蔵

明治年間制作・「群鶏図香炉」・清水三年坂美術館所蔵2点/岡山県立美術館所蔵1

明治年間制作・「鯉鮟鱇対花瓶」・京都国立近代美術館所蔵


「主たる所蔵美術館」

「清水三年坂美術館」

出典元:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/b/b5/Kiyomizu_Sannenzaka_Museum.jpg/800px-Kiyomizu_Sannenzaka_Museum.jpg

インフォメーション:(HPより)以下参照

鎖国が解かれ武家社会が崩壊すると明治政府は、お抱えの蒔絵師や金工師達たちの失業対策と殖産興業政策により、彼等に輸出用の作品を作らせます。それらの多くは外貨獲得の為に外人の好みに合わせて作らせた作品で、芸術的に評価の低かったものが多かったのも事実です。しかし、その当時、国内需要を意識して作られた帝室技芸員の人達をはじめとする一流の作家達の作品は、非常に洗練された芸術性の高いものでした。それらの作品には欧米文化の影響も受け、江戸時代のものとは異なった新しい感覚の作品も多く見られます。その後は日本人の嗜好が欧米文化に傾斜してゆき、蒔絵や金工に対する国内需要が減少し、衰退の一途をたどりながら今に至るわけです。当館では宮内省(現在の宮内庁)はじめ、国内の数寄者向けに作られた一級の作品、および貿易用に作られたものではあるが、美術品としての価値が高いものを選んで、展示しています。技法別に分類すると、蒔絵、金工、七宝、焼き物、彫刻などであり、用途別では硯箱、料紙箱、文台、香炉、香箱、小箱、花瓶、印籠、根付、煙草入れ、煙管、煙管筒、矢立、茶碗、刀装金具、帯留め、櫛、かんざし等があります。  時代としては明治を中心に幕末・大正あたりまでを含めて収集・展示をしています。どの分野をとっても今や再現不可能な細密で繊細で高度な技術で作られたものばかりです。

所在地:605-0862京都市東山区清水寺門前産寧坂北入清水三丁目337-1

問合せ:075-532-4270

開館時間:10001700

休館日:月曜日・火曜日・年末年始

関連料金:入館料大人800円・中高大生500円・小学生300


「林原美術館」

出典元:http://www.hayashibara-museumofart.jp/cgi-image/3/3_RzhCkKctNDobCyeIzddjgxKRqLLcWHKhoFDThmJYXfFTEpNMTS.jpg

インフォメーション:以下参照

林原美術館は、岡山の実業家だった故林原一郎氏が蒐集した、日本をはじめとする東アジア地域の絵画や工芸品と、旧岡山藩主池田家から引き継いだ大名調度品を中心とするコレクションによって生まれた美術館です。金鯱輝く岡山城天守閣を東に望む、旧二の丸屋敷対面所跡に位置しています。林原氏は、自らの収集品による美術館の建設を夢みましたが、志なかばで逝去、その遺志をついだ遺族・知友によって196410月に開館しました。 収蔵品は、刀剣・武具・甲冑・絵画・書跡・能面・能装束・彫漆・螺鈿・蒔絵・陶磁・金工等々、広範にわたっています。これら収蔵品による独自の企画展を年45回、特別展を12回開催しています。

公式サイト:http://www.hayashibara-museumofart.jp/

所在地:700-0823 岡山県岡山市北区丸の内2715

問合せ:086-223-1733

開館時間:10001700

休館日:月曜日

関連料金:入館料一般500円・高校生300


「正阿弥の関連著作物」

タイトル:「アールヌーヴォーに影響を与えた幕末・江戸の金工」

出典元:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/51hi9grH9UL.jpg

出典元:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/41awko2qDCL.jpg

内容:トンボは決して後ずさりをしない。蝶や蝉は何度か脱皮をくり返し、輪廻転生をイメージさせる。命の危険と隣り合っていた武士達は、身に付ける金工刀装具のモチーフに多くの昆虫をあしらった。その美しさと自然を敬う感性は、遠くヨーロッパの地で新たなアールヌーヴォー芸術として花開いた。幕末を代表する金工師である正阿弥勝義とエミール・ガレの作品を中心に、類似点、相違点を御覧下さい。また、勝義と同様、当時の代表的な金工師である後藤一乗の没年が覆ることになる直筆の手紙が登場する、コラム:「新発見 後藤一乗の手紙」も必見です。

著:村田理如

出版社:マリア書房

出版年:2011330

参考価格:3765円~

オンラインショッピング:https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%8C%E3%83%BC%E3%83%B4%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%81%AB%E5%BD%B1%E9%9F%BF%E3%82%92%E4%B8%8E%E3%81%88%E3%81%9F%E5%B9%95%E6%9C%AB%E3%83%BB%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%81%AE%E9%87%91%E5%B7%A5-%E7%B7%91%E9%9D%92ROKUSHO-vol-3-%E6%9D%91%E7%94%B0%E7%90%86%E5%A6%82/dp/4895115720/ref=pd_cp_14_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=1VGYMMK63T02JY4ZKB8G


タイトル:「超絶技巧美術館」

出典元:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/A1%2B09gedypL.jpg

内容:超細密絵画、スーパーリアル・フィギュア、複雑怪奇な工芸品!?現代作家20人の挑戦に迫る!日本美術が生んだ究極の技、集結!!

著:山下裕二監修・美術出版社編集部編集

出版社:美術出版社

出版年:20131127

参考価格:1944

オンラインショッピング:https://www.amazon.co.jp/dp/4568430828?_encoding=UTF8&isInIframe=0&n=465392&ref_=dp_proddesc_0&s=books&showDetailProductDesc=1#product-description_feature_div


タイトル:「別冊太陽217・明治の緻密工芸」

出典元:https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/917iD1H69TL.jpg

内容:時は明治時代。幕府の仕事を失った職人たち。殖産興業を急ぐ政府。双方の力が合わさり明治工芸は隆盛を極める。本書では七宝、陶磁器、染織、金工などの名品約180点を紹介。

著:山下裕二監修

出版社:平凡社

出版年:2014327

参考価格:2414

オンラインショッピング:https://www.amazon.co.jp/%E5%88%A5%E5%86%8A%E5%A4%AA%E9%99%BD217-%E6%98%8E%E6%B2%BB%E3%81%AE%E7%B4%B0%E5%AF%86%E5%B7%A5%E8%8A%B8-%E5%88%A5%E5%86%8A%E5%A4%AA%E9%99%BD-%E6%97%A5%E6%9C%AC%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%93%E3%82%8D-217/dp/4582922171/ref=pd_sbs_14_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=J3Q52KHW4RJWP7NABDBP

参考サイト:http://www.hayashibara-museumofart.jp/data/88/collection_tpl/

参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B0%B4%E4%B8%89%E5%B9%B4%E5%9D%82%E7%BE%8E%E8%A1%93%E9%A4%A8

参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%AD%A3%E9%98%BF%E5%BC%A5%E5%8B%9D%E7%BE%A9

参考サイト:http://www.e-tsuyama.com/report/2013/01/post-404.html

参考サイト:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B5%B7%E9%87%8E%E5%8B%9D%E7%9C%A0

参考サイト:http://www.mus-his.city.osaka.jp/news/2011/chozetsugiko/chozetsugiko_item.html

参考サイト:http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/data/090214/

参考サイト:http://www.pref.toyama.jp/branches/3044/exh_1502.htm

参考サイト:http://wazamon.net/craftsman/arima/

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